2006年9月30日 (土)

六ヶ所村ラプソディー

鎌仲ひとみ監督の「六ヶ所村ラプソディー」を観ました。使用済み核燃料再処理工場の操業が来年から始まるのですが、地元の人たちのさまざまな思いや運動を追ったドキュメンタリーです。かつては漁協などが激しい反対運動をしていましたが、今は反対者も少数になったそうです。今は再処理工場で働く人や仕事を請けている人もいて、簡単に危険だから反対と言う状況ではありません。しかし、誰もが内心では危険な再処理工場に反対していると感じました。

原発に絶対安全ということはありえません。それは原発を推進する方も分かっています。だから、事故を想定した訓練が行われるのです。原発で大きな利益を得る企業は別にして、一般の人はできれば原発を止めたいと思っています。しかし、より便利な生活を求めて、エネルギーを大量に消費する社会では、僕たちも原発の恩恵を受けています。

より便利な生活を求める限り、原発反対をどんなに叫んでも迫力がありません。一人一人がエネルギーの大量消費をやめて、そこそこの生活をすることこそ、原発を止めるために必要だと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (24)

2006年8月14日 (月)

「怒りをうたえ」上映会

 昨日、「週刊金曜日」大分読者会主催の「怒りをうたえ」上映会に行きました。3部作で、上映時間は何と8時間。朝9時半から夕方6時過ぎまで根性で観ました。内容は1968年10月21日から70年6月23日までの日米安保反対闘争のドキュメンタリーです。いわゆる70年安保闘争の記録です。監修は宮島義勇です。当時の日米安保反対闘争の現場を実写した貴重な記録映画です。東大安田講堂占拠に対する警察の攻撃や新宿における全共闘や労働者と機動隊の衝突などの映像がど迫力で写しだされていました。おそらく、当時の攻防は戦後日本の道筋を決める大きな分かれ道だったと思います。全共闘といわれる彼らが最終的に何を目指していたか、彼らのすぐ後の世代ですがいわゆるノンポリだった僕には分かりません。しかし、彼らが闘いの目標とした「日米安保粉砕」は、日本の将来を決める大変重要な問題であったと思います。今、日米安保条約は憲法をも侵害しています。今起こっている憲法改悪の動きも、日米安保条約の実効性を高めるためだと思います。今、日米安保条約廃棄などといっても、誰も相手にしないかもしれませんが、諸悪の原因は日米安保条約にあると僕は思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月24日 (土)

ホテル・ルワンダ

 ホテル・ルワンダを観にいきました。事実に基づいた映画です。主人公のホテルの支配人が、虐殺されそうになる民衆を必死で守る姿が感動的でした。何故ルワンダで100万人ものツチ族の人が殺されたのか理解できませんでした。映画の中では、少数派のツチ族が過去に宗主国のベルギーの支援によって、多数派のフツ族を支配してきたことに対する報復と表現されていたようです。内戦の多くは民族紛争や宗教対立として片付けられますが、本当はもっと複雑だと思います。本当の理由は、権力闘争であり、経済闘争であることがほとんどです。映画の中ではフツ族のツチ族に対する怒りを助長するラジオ放送が繰り返し流れていましたが、戦争はいつもプロパガンダによって引き起こされることを言いたかったのではないかと思いました。 おそらくフツ族もツチ族も庶民は仲良く暮らしていたはずです。

 個人はは自分の意思とは関係なく、社会の流れに押し流され狂気集団の一員になってしまいます。その流れを作るのは、権力や利権に執着する人間です。その間違った社会の流れに警鐘を鳴らすのはメディアの役割です。しかし、メディアは逆に間違った流れを助長する役目も果たします。今の日本のメディアは、どちらなのでしょうか?

 映画を観て主人公の人間としての気高さに感動しました。同時にツチ族を虐殺するフツ族の兵士たちの野獣のような狂気に身震いしました。僕は主人公のようにありたいと思います。しかし、極限状態で自分がどんな行動をするのか、全く分かりません。極限状態を回避するために何をなすべきか、そんなことも考えさせられました。

| | コメント (0) | トラックバック (29)

2006年5月22日 (月)

にがい涙の大地から

 昨日、海南友子監督のドキュメンタリー映画「にがい涙の大地から」の上映会を行いました。この映画は、旧日本軍が敗戦時に中国に遺棄した化学兵器による被害のドキュメンタリーです。日本の中国侵略による犠牲者は1000万人に上ると言われています。その上に、日本軍の遺棄した化学兵器で多くの中国人が今も命を落とし、後遺症に苦しめられています。被害者に対しては未だに補償もなく、多くの被害者の家族が経済的にもどん底の暮らしを強いられています。日本政府を相手に裁判を起こし、一審では勝訴しましたが、日本政府がすぐに控訴したためにまだ裁判は続いています。

1931年から中国東北部を侵略した日本は「満州」という傀儡国家を作り、敗戦まで武装占拠した。この間に1000万人の中国人が殺されたといわれている。日本は戦争を有利に進めるために国際条約で禁止されていた化学兵器(毒ガス)を秘密裏に製造し、使用した。敗戦時、秘密の発覚を恐れた日本は組織的にそれらを遺棄。現在も40万発(内閣府発表)以上の化学兵器が眠っている。砲弾については数え切れない。(「にがい涙の大地から」パンフレットより)

 身体的にも経済的にも苦しむ被害者に対して、日本政府は非情にも控訴をしました。この映画を観た女性は、帰り際に「ますます日本が嫌いになりそう」と言いました。今、国会で教育基本法の「改正」が審議されています。与党案は「わが国の郷土と国を愛する」という文言が入っています。愛国心を強制したい政府の気持ちがよく分かります。このままでは、国民はますます日本が嫌いになるでしょう。

 

| | コメント (1) | トラックバック (2)